ギムノカリキウム
着手2006.
開設2007.1.20
2.4暫定簡略表
3.17最新分類による図鑑公開開始
目次
1.初めに−ギムノの分類の歴史
2.オーストリアギムノ研究グループによる分類と従来の分類の比較
3.最新分類による図鑑

1.はじめに
ギムノカリキウムは、南米のアルゼンチンを中心に産する小型から大型までの球形サボテンの属である。我が国でも、ヨーロッパでも人気が高い。約70種あるとされ、人によりどれを種と見なすかに食い違いがある。また亜属以下の分け方にも色々な説がある。さらに我が国では、色々な和名が付けられ、それが学名の何に対応するかという問題が起きている。
ここでは、色々な説を紹介し、それらを参照しながらも、最も根拠があると思われる物を中心とし、我が国の愛好者とも協力して整理することとしたい。
ギムノの分類の歴史
ギムノカリキウムで最も古く命名された種類は九紋竜で、学名はcactus gibbosus で1812年Haworthによってであった。ギムノ属が設定されたのは1844年Pfeifferによってで、基準植物はdenudatum(通常蛇竜丸とされている)であった。ギムノの中の分類はFricによって種子の形により1935年に始められ、Schutzに引き継がれて86年に6亜属として集大成され、国際的にも主流になると共に他の分類の基本ともなっている。種の同定については色々な見解があり、国際系統分類では71種が上げられている。一方Tillらのグループはシュッツの分類を元にしながらも、色々な基準、度々の現地調査、古い文献の調査などにより、亜属、節、亜節、列、亜列までの階梯化と、種の同定の混乱の是正を試みている。最近その一部が国際系統分類にも反映されつつある。
シュッツの分類の概要
議論に入る前に、現在まで広く受け入れられているシュッツの分類の概要をまず紹介する。これは彼の著作および趣味家であるPilbeamの解説書に載せられているが、ホームページでも概要を見ることができる。種子の大きさや形を分類の主な基準としている。亜属は以下の6つである。
Gymnoalycium(九紋竜), Macrosemineum(蛇竜丸), Microsemineum(新天地), Muscosemineum, Pirisemineum(天賜玉), Trichomosemineum。semineumは種子の意味で、piriは洋梨pearに相当する。かっこ内は基準種である。
ギムノの分類の混乱・問題点とティルらの活動
(1)種の取り違え
ティルらの指摘と検討によると、第一の問題点として、現在同定されている種類が、当初に命名された物と食い違って他の種が入れ替わってしまっていると言うことがある。種の設定は、ある植物標本を指して、ラテン語で特徴を定義して行われる。昔に決められた種の場合には鮮明な写真や図が無く、標本植物も失われていることが多い。後の解説者が、別の植物と取り違えて説明し、それが定着してしまうことがある。主に問題となっているのは、denudatum, multiflorumなどである。ティルらは初記載の文献やその後の解説書の記載の変遷をたどることにより、一部を解明している。
(2)種の採否の食い違い
調査した苗による特徴の違い、場所の違い、基準とする形態項目の違いなどにより、人によってどれを種として、どれを亜種以下にするとか、どういう特徴を持った物を何という名前で呼ぶかに食い違いが起こってくる。不思議なことに、それでも各人の種の数は大抵70前後で差が余りない。
(3)亜属以下の分類とその根拠
ギムノのような大属では、どの種とどの種が近縁かとか、大まかにどのようにグループ化できるかなどが、蒐集にとって興味がある。多くの分類学者は、種の採否に熱心で、それ以上の階梯の分類を行っていないが、フリック以来何人かが分類している。骨組みは余り差がないが細部は食い違いがある。その理由の一つは、人により着目する形質が異なることである。シュッツとティルの分類の違いの一つは、シュッツは産地(国)の違う物が同じ群に入れられているのに対してティルでは別群とされることが多いことである。
(4)和名と学名の対比
以上に加えて我が国では、和名がどの学名と対応するかの問題が生ずる。和名の設定は、古い学名以上にあいまいである。学術的専門家のしたことではないから、標本植物が明示されなかったり、保存されていなかったりする。また、学名と違って時代の移り変わりと共に変遷したり、交配によって変わっていったりしてしまっている。
オーストリアのギムノ研究グループは活発に活動しており、会誌は愛好者には必見であろう。入会者は我が国の会員による翻訳版が入手できると思われる。

2.オーストリアギムノ研究グループによる分類と従来の分類の比較
従来の主流であるシュッツの分類と対比させながら、ティルグループの亜属以下の階梯とその基準、種、亜種などを簡略化し表にまとめてみた。さらに、国際分類の種を番号で示し、趣味家の本として有名なPilbeamとも対比させた。和名についても対応すると思われる欄に記載した。以上はオーストリアギムノ研究グループの海外グループにご指導を頂きながら、独断で整理したものである。
未完の暫定簡略版の表を掲げる。より詳しくて厳密な物は下記ホームページに掲載されている。
下位一致
上位一致
上位不一致
独自群
種混乱
新種
対応種なし
異名など
数字
国際分類

続く
(詳しくは発表予定のカクタス東京参照)

参考資料
E. F. Anderson, The Cactus Family,
J. Pilbeam, Gymnocalycium- A collector's guide (Balkema, Rotterdam, 1995).
R&K. Preston-Mafham. Cacti- The illustrated Dictionary (Timber Press, Portland, )
Schutzによる分類の紹介は例えば:http://www.cactus-art.biz/note-book/Genus/genus_gymnocalycium.htm
オーストリアギムノカリキウム属研究グループ海外グループ:http://www.hi-ho.ne.jp/staka/Gymnocalycium.htm
Austrian Gymnocalycium Arbeit Groupによる分類は 例えばhttp://www.richtstatt.de/gymnos/e_index.htmhttp://uc.privat.t-online.de/